26歳、高卒、職歴なし

口だけは達者な26歳の、前を向いて生きていく記録

コルカタは曇天 - インド放浪#2

インド第二の都市コルカタの空港に着いた。

とりあえず最悪のレートだろうとはわかっていたが空港内で一万円分換金を済ませた。そして空港などどこも一緒だろうと、いつも通りSIMカードを手に入れようと通信会社のテナントを探すもどこにも見当たらない。早朝ということもあったし一通りうろうろして諦めがついて、一旦外の空気でも吸うかと自動ドアから出た。目に飛び込んだ最初の景色は、土埃の舞う黄土色の大気の奥に淀んだ灰色の空と、待ってましたと言わんばかりの大勢のタクシー運転手たちだった。「Where are you going?!」を連呼して何人も群がってきた。僕は意地でもタクシーなんぞ乗るものかと思っていたのであしらったが、タイのそれとは比にならないくらい諦めが悪い。なんとか振り切ったところでバス停の看板を見つけ、歩いた。

エスパラナーデ、それがコルカタの中心街のようだった。バスを待つそこらの人に英語で尋ねてみるとすぐにバスの番号を教えてくれた。五分もしないうちにそのバスはやってきて乗り込んだ。次第に乗客が増え始め、乗組員が外に何やら叫んだかと思うとバスは走り出した。

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まず驚いたのは飛び交うクラクションの煩さだった。道に人がいれば鳴らし前が遅ければ鳴らし、とにかく俺が今から通るぞ!の意思表示は全てクラクションで道路は騒々しかった。

途中何度もバスは乗客に何の合図も無しにバス停とはとても言えない路傍に止まり(その度に後続からクラクションを浴び)、乗客も当然のように乗り降りしていた。

次第に辺りが街らしくなってきて、交通量も多くなりバイクやリキシャも増え始めた。次にバスが止まった場所は完全に車たちの流れの真っ只中だった。乗客はそこに降り立つと、ゆるく手を挙げて通り過ぎる車の間を縫って街に消えていった。マジかよ。この荷物で俺もおんなじ感じで行くの?と思いつつ、maps.me(というオフラインでもGPSが作動するマップアプリ)を見ると目的地の目前にいるようだった。

乗組員が目配せをして次だよ、と合図をくれた。幸い同じ場所で三、四人が降りたため僕も彼らに従ってなんとか車の流れを潜り抜け歩道に辿り着いたが、初っ端からめちゃくちゃすぎて笑えてきた。

 

インドに着いた。

 

とりあえず散策を始めた。

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イギリスの支配下だった名残なのか、欧風の洒落た建物が所々に建っていた。歩きだと余計に煩いクラクションに苛立ちながらフラフラと散歩をした。アーケードに覆われた商店街は渋谷くらい人がごった返し、商人たちは声の限り叫んでいた。道端にはあらゆるゴミがそこら中に落ちていて、すごい数の野良犬が寝ていたり生ゴミを漁ったりしていた。何もかもが新鮮で興奮と恐怖があった。

割と綺麗そうなショッピングモールのような建物をみつけ入ってみた。一階のフードコートで二人の女性がトマトソースのマカロニを買うところにちょうど出くわし、僕もそこの店員に「彼女たちと同じのをくれ」と頼んで食べた。情け無いことにインド最初の食事にインド感は皆無だったが美味しかった。

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次は換金とSIMカードと宿だ。僕はまた歩き出した。